Learn Better 書評・レビュー

learn better 書評
Learn Better――頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ

効果的な学習の仕方を教えてくれる本。

「現在において最も重要な能力の一つであり、あらゆるスキルの前提となるスキル」(学習の方法)を真面目に検討している。非常に良い本です。 

多くの人は人生でなんだかんだで勉強に多大な時間をかけてきているでしょう。

「なんて自分は頭が悪いんだ」と自己嫌悪に陥ったことも少なからずあると思います。

勉強しても理解できない、覚えられない。その結果、テストでいい点数が取れない。

そんな悩みは多くの人に共通するものです。

「どうせ自分はダメだから」と諦めるのではなく改善しようとする場合、単に「がんばる」「もっと長時間かける」だけでも苦しいです。

どうすればよいのか?どう勉強すればよいのか?

この問にこの本は取り組んでいます。

この本のいくつかのポイントを紹介します。

Learn Better――頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ

目次

Learn Better――頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップのポイント

この本をポイントを以下にまとめました。

1 能動的・積極的に学習せよ

 ボーっと勉強してんじゃねーよ!

抜き打ちテスト1

要点を覚えるのに最も効果がある方法はどれか?

A:文章の重要な部分を丸で囲む。

B:文章を何度も読む。

C:文章の内容についてテストを受ける。

D:文章の重要な部分を蛍光ペンでなぞる。(24ページ)

答え:C

この問題の答えを見ると、「当たり前じゃないか」という声が上がりそうです。しかし、多くの大学受験生や司法試験受験生を見てきた経験から言うと、AやDは多くの人がやっていて、Bもやっている人がいます。

しかし、Cにきちんと取り組めるか否かが重要です。試験勉強という意味では、本番に向けたアウトプットが必要でしょう。

この本では次のような説明があります。

知識の習得についての常識はここ数年で大きく変わった。例えば、・・・・・・蛍光ペンでなぞるやり方は学習にあまり効果がないとわかった。なぜか。マーカーを引くのは人が知識を構築するには十分な行動ではない、ということらしい。

同様に、繰り返し読む効果も限定的だ。なぜか。これもやはり頭を働かせる「活動」を促すには至らないからだ

(65ページ) 

同じようなテストが本に出てきます。

抜き打ちテスト11

文章から学ぶのに最も効果がある方法はどれか?

A:その文章を繰り返し読む。

B:読みながら要点を自分に説明する。

C:重要な部分に下線を引く。

D:蛍光ペンでなぞる。

(175ページ)

答え:B

仕事でも勉強でも、資料を読む際には、自分が本当にわかっているか常に質問を自分に投げかけ、その質問に答えられるように要点を自分に説明しながら読むのが最も賢い読み方のようです。

学習が頭を働かせる「活動」であることを裏付けるエビデンスがこれだけ出ていながら、注目する学校や大学がわが国にあまりにも少ないのは残念でならない。どこの大学図書館でも、行ってみると学生は受け身で本を読んでいる(対象について学びたければ、能動的に関わる行動をとるべきだ)。高校の構内を歩いてみれば、生徒たちは教科書の全ページに機械的にマーカーを引いている(自己テストの方が学習アプローチとしてずっと効果が高い)。大事な会議の準備をするのにはメモに目を通すだけのことが多い(もっと良いアプローチは、誰もいない部屋で伝えたい内容を実際にしゃべってみることだ)。 

(69ページ)

2 能動的・積極的なだけでは足りない。頭を使って学習せよ

誤解してほしくないが、ただ熱心に取り組むだけでは不十分だ。学習に積極的に取り組んでもあまり身につかない場合がある。

なんだって・・・?!どういうことだ。

言い換えると、単にパンチを繰り返すだけでは、ムエタイに習熟するとは限らない。

なるほど。私の経験からすると、単に英単語集を書き写すだけの勉強をする大学受験生は成績がよくなかった気がします。

では、どうしたらいいのか。

頭の働きを活発にするために動き回る必要があるわけでもない。じっと座ったままでも対象に深く関与することができる。研究者のディラン・ウィリアムがこの点をうまく表現している。能動的な学習が効果を上げるのは、頭をフル回転させているとき、それも専門知識について頭を使っているときだという。

(以上72ページ)

難しいことをよく考えてこそ賢くなれるようです。

「これは一体どういうことだ?こういうことか?」と能動的に考えるのが必要です。 

これを実践する読書法をビル・ゲイツがインタビューで答えていました。これは参考になると思います。 

ビル・ゲイツの読書法【必見】天才の本の読み方

3 パワーポイントスライドや文章の情報量

パワーポイントの各スライドに文字満載。

会社にもよりますが、パワーポイントで紙資料を作成することが定着している職場ではよく見られる資料です。映写するのではなく、紙に印刷して配布することを想定した資料作成術です。

この点についての説明。 

短期記憶は容量が限られているため、少しずつの方が学習しやすい。資料1ページないしパワーポイントのスライド1枚に掲載されている図は少ないほど伝わりやすい。

1ページ中にいくつも図を盛り込まない方がいいということですね。

文章は短いほど良いというのもここからわかる。言葉の数が少ないほど―内容を詰め込みすぎないほど―相手に新しい情報が入りやすくなる。

(以上91ページ)

文章の書き方の参考にもなります。

4 ダメな教材(カリキュラム)とは

小中高、大学、社内外の研修。

様々なものを受けてきて、先生ではなく、教材で悪いものはどんなものだったのでしょうか。

この本のいうダメな教材は次のようなものです。 

  • フィードバックがお粗末
  • 練習問題と教科書は生徒に単純に答えを与えてしまう
  • 思考を組み立てることを促さない
  • テーマの扱いが広く浅くなりがちで、一つのテーマでみっちりと練習を積むことができない

 社会人向けのセミナーはこんな感じのダメ内容ばかりです。

5 採用面接で人を判断することはできない

このブログに強く関係するトピックがありました。

採用面接があてにならないという内容です。 

心理学者のリチャード・ニスベットが優れた例を挙げているが、人材採用の決定の根拠は大半が勘程度でしかないという。

ニスベットによると、管理職は面接を重視しがちだ。だが、非営利組織や軍、学界などあらゆる分野を対象にした調査で、面接では実際の仕事ぶりはほとんど予測できないことが示されている。候補者がそのポジションをこなせるかどうかを判断するには、紹介状や経歴や筆記試験などの確実なデータの方がずっと重要である。

問題は面接が「採用活動に適切であると感じられる」ことだとニスベットは言う。たいていの人にとって、面接するという体験は情動に鮮烈に訴えかける強い体験であるため、何年分の確かな証拠が入っている履歴書よりも20分間魅力的にふるまう能力で人を判断してしまう。

(198ページ)

求職者の立場から言うと、面接は非常に大事、ということですね。書類上イマイチであっても、面接で逆転できる可能性が十分あるということです。

面接対策はしっかりしましょう。

他方、採用担当者は、自信過剰を戒めるべきです。

人の「人を見る目がある」は、面接の印象で自分の頭がいっぱいになって判断がゆがめられているだけです。

「自分の採用の活動のおかげでちゃんといい人が取れている」だって?

そう思い込んでるだけです。人は、「自分が見たものが全て」で、自分のかけた労力を過大に評価し、かつ、自信過剰です。

ある採用者の「見る目」が他より高いと証明できるものはありません。

6 学んだら実践、応用

単に机上のお勉強ではつまらないだけでなく、身につきません。 

習熟することは応用に欠かせない。人は知識を実行に移すことにしばしばひるむ。・・・成功しないのではないかと心配しすぎるのだ。だがひとたび基礎を理解し、慎重に実践体験を積んだら、あとは明確な形でひたすら専門知識を応用するしかない。

(206ページ)

学ぶだけでなく、実行してうまくいくか試しましょう。

うまくいかなければ修正しましょう。

7 一つのことだけやっていればよいというのではない

この本は、著名な物理学者が芸術の分野にも秀でていることなどと紹介したうえで、次のようにいいます。

これは不思議な偶然などではない。知識領域の拡大にはある種の創造性が求められるのだ。はっきりと定義されないものや不確実性を受け入れる完成が必要である。実際に、専門知識の領域を不確定であいまいな、発見や探求の余地があるものだと考えている人ほどよく学べるという研究結果もある。

(213ページ)

「同じものを繰り返し目にするのは、学習の手始めとしては良い方法よ。でも違うものに視野を広げていかなければ、一生、現状維持で終わるわ」(心理学者デドリー・ジェントナーの言葉)

(263ページ)

1個だけのできるのは不可欠です。

幅広い知識を身に着けて、日々に応用できるようになることが肝要です。

8 20世紀最大の数学者の1人が作り上げた問題解決の体系的アプローチ

「問題解決」。

多くの職業で求められる根源的能力です。これを天才学者が研究して大系化したそうです。

誰が作ったのか?―ジョージ・ポリア。

ジョージ・ポリアって誰?―20世紀前半に活躍したハンガリー出身の数学者。若い数学者時代に画期的な論文を連発して確率論の分野に革命をもたらした。

20世紀最大の数学者の1人と誰もが認める人物である。

 そのポリアが作った問題的体系的アプローチとは。

スタンフォード大学で教鞭を執っていた60年代後半に、ポリアは問題解決法に関心を向けた。

おお、いいですね。こういう天才が作った体系を自分の生活や仕事に応用したいです。

あらゆる問題に対する「解決の動機と手順」を明文化しようと志し、ついに4段階に分かれた体系的なアプローチを提案した。

第1段階:「問題を理解すること」。

この段階では、問題の核心や本質の発見に努めなければならない。「問題を理解しなければならない。未知のものは何か?どんなデータがあるか?」とポリアは述べている。

第2段階:「計画を立てること」。

ここでは問題に対する取り組み方を計画する。「データと未知のもののつながりを探せ」とポリアは助言する。

第3段階:「計画を実行すること」。

行動し、検討する段階である。「計画が正しいと証明できるか?」

第4段階:「振り返ること」。

つまり解決法から学ぶこと。「結果および結果に至った道筋を見直すことにより、自分の知識を強化して問題解決能力を伸ばすことができる」

(271ページ) 

思ったよりシンプルなもので拍子抜けする人もいるかもしれません。しかし、このシンプルな段階をきちんと踏んで仕事をしている人はあまりいない気がします。 

9 過信は学習の大敵

過信は効果的な学習をおおいに阻害する。自分を過信していると、人は 勉強しない。練習しない。自分に問いかけを行わない。過信はとりわけ、知力を鍛えるタイプの学習に取り組む邪魔をする。知っていると思ってしまうと、概念同士を関連づける、今ある知識を発展させるといった、難しい手順を踏もうとしなくなる(277ページ)。

この本の中では、ダニエル・カーネマンのコメントが出てくる。

ダニエル・カーネマンは現代の心理学において最も重要な学者の1人だ。人間の心のバイアスに関する先駆的な研究でノーベル賞を受賞している。

・・・記者はどうやら「どうすれば思考力を高めることができるのでしょうか?」というような質問をしたらしい。

「私が魔法の杖を持っていたら、何を消すかな?」。カーネマンは問い返してから答えた。「それは、過信だよ」

(276ページ)

どうすればよいのか。

自分の知識を再考する際の教訓その一は、「謙虚であれ」である。

(280ページ)

気をつけるべきは「慣れ」。

学習で起こる過信の1つの要因は慣れだ。ある概念や事実が身近な場合―あるいは何度も見聞きしたことがある場合―人は実際には知らないのにそのことについて自分はわかっていると思いやすい。

(281ページ)

***** 

読了後に改めて重要と思える部分をピックアップしてみました。

学習法の本の中で、この本はかなりの良書です。 

Learn Better――頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ

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