筋トレをしなくてよい理由 | 不健康なやりすぎマッチョの行く末

筋トレ 人生が変わる 不健康

筋トレすれば人生が変わる、というように筋トレ最強説を唱える人はけっこういます。

筋肉を太くするウェイトトレーニングで自分を追い込み、糖分をあまりとらずタンパク質を多くとりなさいと説きます。

筋トレで人生が本当に変わるのでしょうか。良い方向に。

筋トレ万能説を主張する人は、能天気に筋トレの良い面だけをアピールし、悪い面に言及しません。

悪い面があっても真面目に取り合いません。

本記事は、「筋トレって本当に体にいいの?」と賢く疑う人のための記事です。

筋トレのやりすぎは良くないというところを記事にしました。

注意すべきは、筋トレそれ自体を否定するわけではありません。

過度なトレーニングは良くない、というのが本記事の言わんとしていることです。

能天気マッチョの筋トレ扇動者は明らかに筋トレのやりすぎです。

筋トレをやりすぎれば、

  • 酸素消費量による老化加速
  • 血管の硬化

といった悪影響があります。

これらは今のところ目についた筋トレやりすぎの弊害の一部ですので、新たに知ったことがあれば後日追加します。

目次

筋トレは酸素消費量を増やし老化を加速させる

筋トレで若々しくなるかと思いきや、やりすぎは老化を加速させてしまう恐れがあります。

筋トレはいわゆる無酸素運動に当たりますので、それ自体は活性酸素を生み出す運動にはなりません。しかし、過度に筋肉を鍛えすぎると、酸素の消費量が一気に増えてしまいますので、有酸素運動のやりすぎと同じことになってしまいます。

中西真『老化は治療できる!(宝島社、2021年12月)161ページ

筋トレ自体は悪くありません。

では何が悪いかというと、過度な筋トレです。

やりすぎが悪い。

過度な筋トレをすると、大きな筋肉がつきます。

マッチョを目指して厳しい筋トレをしてタンパク質を過剰に摂取する人は、筋肉を大きくしようとしています。筋肉が盛り上がった自分を目指しているわけです。

しかし、皮肉にもその大きな筋肉が老化を加速させるエンジンになってしまいます。

なぜかというと、その筋肉というエンジンは酸素を消費するからです。筋肉が大きいとより多くの酸素を消費する。

有酸素運動のやりすぎと同じくらい酸素消費量が増えてしまう。

酸素は体にダメージを与える。

老化の原因にはさまざまなものがありますが、環境要因は大きいです。なかでも、紫外線と活性酸素の影響は無視できません。

……酸素は非常に有毒なんです。酸素を吸っているがゆえに老化すると言ってもいいくらい、酸素は体にダメージを与えます。酸素は生きていくうえで必要不可欠であり、いいものではあるのですが、同時に悪いものでもあるという認識が必要です。

中西真『老化は治療できる!(宝島社、2021年12月)157ページ

「活性酸素」とは何ぞや?と思うのですが、酸素が体内に取り込まれると活性酸素に変化します。

呼吸で肺から取り込まれて組織に運ばれた酸素は、生体内の穏やかな条件下で反応し易い不安定な形に変わることがあります。この不安定な酸素種を活性酸素種 (Reactive Oxygen Species、略してROS)といいます

|健康長寿| (toho-u.ac.jp)

人は、酸素を取り込むとその酸素の90%以上は、細胞内のミトコンドリアが使います。

ミトコンドリアは何のために酸素を使うかというと、エネルギーを作り出すために酸素を使います。なので酸素は生きるために必要です。

しかし、そのエネルギー産出過程で活性酸素も生み出されてしまいます。

過度な有酸素運動では、活性酸素が多く生み出されてしまいます。やりすぎは良くない。

活性酸素を大量に生み出す代表格が、過度な有酸素運動です。「適度」ではなく「過度」ですので、読み間違えないよう注意してください。マラソンなどに限らず、有酸素運動であればなんでも、酸素をたくさん吸ってエネルギーを産生する過程で活性酸素を発生させてしまいます。この活性酸素が細胞を傷つけて老化へと誘導してしまうのです。

中西真『老化は治療できる!(宝島社、2021年12月)157ページ

有酸素運動は最強の脳トレと紹介していますが、やりすぎてはいけない。

筋トレのやりすぎは、有酸素運動と同じくらい酸素消費量を増やすのです。

適度な筋肉量をつけておくのは個体にとって大切なことですが、やはり適量というものはあります。適量をはるかにオーバーするような筋肉量をつけてしまうと、酸素消費がそれだけ増えてしまい、老化が進んでしまいます。
ボディビルダーのような筋肉質の体は、代謝で栄養素を消費しますから、食べても食べても太りません。一見いいようだけれども、実はたくさん酸素を消費しているということになります。これは、食べて食べてたくさんの酸素を消費してエネルギーを得ているのと同じことで、つまり、有酸素運動でどんどん酸素を消費しているのと同様の状態だと言えます。酸素をどんどん消費すると老化も早い。筋肉量が多い人は、加齢に伴い老けやすくなっていく傾向にある、という可能性も否定できないのです。

中西真『老化は治療できる!(宝島社、2021年12月)161-162ページ

自分を追い込む過度な筋トレで手に入れられるのは、大きな筋肉と加速的に進む老化です。

おめでとうございます。

苦しい思いをして付けた大きな筋肉という巨大エンジンは、生物的に老けた将来に他の人よりも早く到達することを可能にしてくれます。

老化が加速すると知って趣味で激しい筋トレしたい人はいるのでしょうか。

運動のポイントは適量であることです。

酸素をあまり必要としない最適体を狙う方がいいでしょう。

筋トレで血管がボロボロ | これが健康的?

筋肥大を促進するきついウェイトトレーニングは、血管にも悪影響を及ぼします。

これが2つ目の過度な筋トレのデメリットです。

激しい筋トレによって血管が硬くなります。

筋肉がすでに十分ある人が、さらに筋トレを積むとどうなるかというと、筋肉が肥大になります。マッチョ(スペイン語のmacho「オスの」が語源)になります。
では、マッチョ部分の血管はどうなっているのか。
健康な血管かというと、表現は悪いですが、まともな状態ではありません。残念ながら、動脈硬化が進んでいる可能性が高いといえます。
なぜ動脈変化になっているかというと、マッチョになるための筋トレの場面では、怒責(どせき)といってものすごく踏ん張ります。トイレで踏ん張るのと同じです。
息を止めてウーッと50kg、100kgクラスの重いバーベルを持ち上げる怒責の段階で血圧が大きく上がり、それに負けないための血管ができてくるため、動脈硬化のリスクが生じます。すると、心臓に大きな負担がかかるようになります。

米井嘉一『最新医学が教える 最強のアンチエイジング』(日本実業出版社、2019年3月)11ページ

極端な筋トレは、短期的に若いうちは筋肉がついて本人の自己満足になっていいかもしれません。

しかし、それは見えない血管に負担をかけ、長期的に見れば、将来の老けた自分に「まともな状態」ではない動脈硬化が進んだボロボロの血管と心臓疾患のリスクをプレゼントする活動になっているかもしれません。

プロテイン摂取とセットで老化が進む

別記事では、筋肉を大きくするためには筋トレと必ずセットで語られる存在であるプロテインのデメリットを説明しています。

プロテインは体に悪いのか | デメリット、腎臓、ニキビ | Snowball Fortune

筋肉愛好家の人達によるプロテインのメリットは、他でも多く見られますので、本ブログでは健康長寿の観点から見たプロテインのデメリットを説明しています。

これらの記事を読むことで盲目的に「筋トレ+プロテイン=最強」と信じる人が減るのを願うばかりです。

理屈があって信じるのはいいんですが、盲目的に信じるのがよくない。

筋トレオタクの勧めには懐疑的にならなければいけない

筋肥大のためのトレーニングとタンパク質摂取にいそしむマッチョ族は、そうしたトレーニングと食生活を愛しています。

そしてそれが最高だと信じています。

最強のソリューションだと称して自分に言い聞かせ、他人にも勧めます。

これは問題です。

何が問題かというと、前のめりになりすぎであり、「本当にそうなのか?」という考えやデメリットを無視してしまっていることです。

問題は何かというと、私たちは自分の好きなことばかりをするということです。

米井嘉一『最新医学が教える 最強のアンチエイジング』(日本実業出版社、2019年3月)11ページ

筋トレマニアは、筋トレとプロテインが好きなあまり、それがいいものであるという情報しか取得しません。

それ以外は一切無視。

確証バイアスの虜になっています。

確証バイアス(confirmation bias)とは、仮説を裏付けるような証拠を探し、仮設を覆すかもしれないような証拠に目を向けようとしない傾向のことです(『世界で最も美しい問題解決法』190ページ)。

私達は、自分の考えと合致するような情報に出会うと、通常はそれを批判することなく喜んでそれを受け入れる。

マックス・H. ベイザーマン=ドン・A. ムーア『行動意思決定論―バイアスの罠』(白桃書房、2011年7月)46-47ページ

筋トレが好きな人はもちろん、筋トレに興味がある人は、「筋トレは健康にいい!」という「自分の考えと合致するような情報」に出会うと、「もちろんそうでしょ!」とその情報を批判しようともせずに喜んでそれを受け入れるのです。

こうして、重い負荷のウエイトトレーニングによって血管がガチガチにかたまっていくのと並行して、思考面でも確証バイアスによって筋トレ最強理論がガチガチに理論武装されていきます。

世の中は、そんな理論武装をするための情報で溢れています。

  • トレーニングを推奨するジムやトレーナー
  • プロテイン摂取を勧める食品会社

こうした人達が「筋トレやプロテインは少々がいい」なんて自ら言うはずがない。

筋トレとプロテインにまい進する人は、批判的思考が足りていません。自己満足が批判精神を押しつぶしてしまっている可能性があります。

喫煙者の方がまだマシかもしれません。

喫煙者は、タバコが体に悪いと自覚しているからです。

「筋トレが最強のソリューション」という筋トレ教信者は危ない。

筋トレオタクは、思い込みが激しくて、柔軟性を失っているおそれがあります。血管も思考も。

そんな筋トレオタクの人に「筋トレした方がいいですか」「プロテイン飲むべきですか」とは聞くべきではありません。

助言を求める相手を間違っています。

床屋(美容師または理容師)に、髪を切った方がよいかを尋ねてはならない。
ーウォーレン・バフェット

情報を適切に取捨選択して自分の健康を守るべし。

適切なトレーニングこそが健康に役立つ

筋トレのやりすぎはよくないですが、運動を適切に行えば体によく、脳にも良い。

虚弱防止のためにも少しトレーニングするのは良いことです。

やりすぎが問題なのです。

「これさえやればいい」なんていう単純思考ではなく、「本当にそうなのか?」「落とし穴はないのか?」と慎重に考えることは自分の健康のためにも重要です。

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