個人投資家理想の資産配分(アセット・アロケーション)の決め方 | プロおすすめのプラン

資産配分 アセットアロケーション

投資をするにあたって資産配分はどのような構成にしたらよいのか。

ポートフォリオにおいて株は何パーセント持つべきなのか。

これは運用において超重要な問題です。

そして資産配分には答えがない。「あなたには絶対この資産配分がいい」というものは存在しないのです。

長年にわたって大勢の賢い男女が資産配分の問題を考え、労力を費やしてきた。バフェットから学べるのは、魔法の手法はないことだ。100から自分の年齢を引いて、その比率を株式に投じたり、他のトリックや公式に頼ったりすることもできない

(ジェレミー・ミラー『バフェット 伝説の投資教室 パートナーへの手紙が教える賢者の哲学』(日本経済新聞出版社、2016年)376ページ)

しかし迷っているばかりでは先に進めません。

そこで本記事では投資のプロ達が個人投資家におすすめしている資産配分案を紹介します。

プロの教えてくれる資産配分案を参考に自分にあったアセットアロケーションプランを手に入れましょう。

目次

1 おすすめ資産配分|自分では決められない人向け

自分で決められない方は、以下のバートン・マルキール『ウォール街のランダム・ウォーカー』のポートフォリオのとおり年代別に合わせた資産配分を取ることをおすすめします。

20代半ば30代後半~40代初め50代半ば60代後半以降
株式70%65%55%40%
債券15%20%27.5%35%
不動産10%10%12.5%15%
現金5%5%5%10%
ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉 ―株式投資の不滅の真理』452ページの図2より

現在は、低金利の時代のため、債券の魅力は少なく、債券の配分を減らして不動産に振りわけたいので、これを勧めています。

後述するジョン・ケイのプランもシンプルでよいのですが、マルキールさんの方が年代別にしてくれているし、株式配分も多めでよいと考えました。

2 株式と債券の2種類に配分するプラン

資産配分で基本となる資産クラス(資産の種類)は、株式と債券です。

株式と債券の比率はどれくらいがいいのかについてはいくつかプランがあります。

(1) 株式50%:債券50%(ベンジャミン・グレアム)

ウォーレン・バフェットの師匠として名高いグレアムは、株式と債券の割合は25~75%にすべきで、「基本的には50対50にすべきだ」としています。

また、グレアムは、株価水準に応じて株式の割合を変えるよう勧めています。

長引く弱気相場によって株価水準が「割安」となったときには、株式の割合を上げるのが堅実な選択といえるだろう。逆にいえばこれは、相場水準が危険なまでに高くなったと投資家が判断すれば、普通株の割合を50%以下に下げよということになる。

一般論としてわれわれが強く言えることは、投資家は自分の株式ポジションに対してよほどの自信があり、なおかつ1969年~1970年に起きた程度の株価下落ならば平静を保てるという確信を保てるのでなければ、投資銘柄のうち株式部分は50%以下にとどめるべきだということだ。1972年初めの株価水準で、そのような確信を持てる投資家がいるとは思えない。

(ベンジャミン・グレアム『 賢明なる投資家 - 割安株の見つけ方とバリュー投資を成功させる方法 』(パンローリング、2000年)88-90ページ)
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ウォーレン・バフェットの師匠がこのような保守的な見解を述べているのは興味深いです。
バフェットも、一般の人にはインデックス・ファンドを勧めているので、自分のような達人と一般人とではやり方を変えるべきだということなのだと思います。

相場が高くなれば株式比率を下げるべきとグレアムは言っています。

ただ、そんな相場に応じて比率をうまく変えるのは難しいという問題はあります。

(2) 株式と債券の比率を年齢に応じて変える①-マルキールのプラン | 慎重な人向け

バートン・マルキールとチャールズ・エリスが共著者となっている著作『投資の大原則[第2版] 人生を豊かにするためのヒント』 (日本経済新聞出版)にて説明されている資産配分案を紹介します。

マルキールさんとエリスさんは以下の通り資産配分案の基準を説明しています。

私たちの資産配分の基準:
自分の年齢とその年齢による市場リスクの許容範囲に従って、賢く資産配分を変えること。

148ページ

マルキールとエリスの資産配分案は、どちらも株式の配分が多く、かなり強気な資産配分に見えます。

しかし、最近の債券利回りの低さを考えるとこれもしょうがないような気もします。

また、両者の資産配分計画は、長期投資を前提としています。

株式を多めにとってかなりの長期間保有する、というのはバフェット的な資産配分ともいえます。

まずバートン・マルキール先生のプランから。

年齢層株式の比率債券の比率
20-30代75-90%25-10%
40-50代65-75%35-25%
60代45-65%55-35%
70代35-50%65-50%
80歳以上20-40%80-60%
投資の大原則[第2版] 人生を豊かにするためのヒント』 (日本経済新聞出版) (図表10)バートンの年齢別資産配分計画より

(上記の計画は)慎重な人向きだという点で、私たちの意見は一致している。チャーリーは、このパターンは少し用心深すぎると考える。

同上149ページ

若い人にとっては株式の比率が高いので積極的な配分と思えたのですが、マルキール先生とエリス先生からすると「用心深すぎる」プランなのだそうです。

(3) 株式と債券の比率を年齢に応じて変える②-エリスのプラン | (2)よりさらに積極的

(2)よりもより高いリターンを狙う人向けの資産配分案です。

年齢層 株式の比率 債券の比率
20-30代 100% 0%
40-50代 85-100% 10-0%
60代 70-80% 30-20%
70代 40-60% 60-40%
80歳以上 30-50% 70-50%
投資の大原則[第2版] 人生を豊かにするためのヒント』 (日本経済新聞出版) (図表11)チャーリーの年齢別資産配分計画より

そして、2つ目のパターンを作った(注 上記図表11のとおり)。これは、株の割合が最初のものより多く、したがって市場変動の影響を受けやすい。チャーリーが勧める資産配分は、長期的に見てリターンを高める目的で作成されている。

149ページ

この資産配分案は株式の比率が高いです。

したがって相場変動によって大きく資産が上下します。

しかし大きく上下しても長期的に10年、20年で見れば一番見返りが大きいはずで20代、30代なら時間を味方にできる、というチャーリーさん(チャールズ・エリス)の考えが現れています。

2 株式・債券以外にも配分

ここからは、株式と債券以外もポートフォリオに含める資産配分案を紹介します。

(1) ジョン・ケイの世界的大手基金のマネをしたポートフォリオ

経済コラムニストのジョン・ケイは、著書『世界最強のエコノミストが教える お金を増やす一番知的なやり方 賢明なる投資家のためのパーソナル・ファイナンス読本』のなかで、世界大手基金のポートフォリオ戦略をマネすることを勧めています。

ジョン・ケイが個人におすすめする資産配分は次のとおりです。

株式51%
債券35%
不動産7%
手元資金あるいはその他の用途7%

これは良識的で堅実なアドバイザーが、長期運用の投資家に勧める典型的な投資配分であり、これらの基金もそうした経緯でこの戦略を採用するに至った。

ジョン・ケイ 『世界最強のエコノミストが教える お金を増やす一番知的なやり方 賢明なる投資家のためのパーソナル・ファイナンス読本』(ダイヤモンド社、2018年)36ページ

なぜこの配分を勧めているのかについてのケイの説明は以下の通りです。

手堅い投資家はどんな戦略をとるのだろう?1つの出発点として、世界最大級のポートフォリオをお手本にするやり方がある。大手の基金は投資戦略をかなり詳しく公開している。

同35ページ

資産配分の決定は難しい。それならプロ中のプロ、それも堅実な長期運用をしている世界の機関投資家のマネをしようというのがケイのアイデアです。

2015年時点で世界の3本指に入るのが、ノルウェー政府の基金(資産規模約9000億ドル)、オランダの年金基金ABP(4000億ドル)、そして3000億ドル規模の米カリフォルニア州退職年金基金(CalPERS)である。
この3つはいずれも長期的な運用を行っており、その規模ゆえに、必要とあればどんな専門家からでもアドバイスを受けられる。……表1は、これら3つの基金の資産配分を示している。

同上

ケイが紹介している世界の大規模機関投資家の資産配分案は次の通りです。

  NBIM
(ノルウェー)
ABP
(オランダ)
CalPERS
(米カリフォルニア州)
上場株 61 28 51
債券 36 43 26
不動産 3 10 9
ヘッジファンド   6 0
未公開株   5 9
キャッシュ   0.2 3
その他   8 2
表1|長期運用ファンドの資産配分(%) 2015年

「これら世界的投資家の平均を手本」としたのがケイが推奨するポートフォリオ配分例です。

このジョン・ケイ・ポートフォリオプランをベースに年代別に修正したものが、後記(2)のマルキール・プランだと言えそうです。(マルキールはこのケイプランを参考にしてはいないとは思います)。

(2) バートン・マルキール『ウォール街のランダム・ウォーカー』のポートフォリオ

本記事では、自分で決められない人にはこのマルキールさんのプランをおすすめします。

マルキールさんは、年齢に応じてポートフォリオを組み立てるべきといい、不動産も含めています(以下『ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉 ―株式投資の不滅の真理』452ページの図2より)。      

20代半ば30代後半~40代初め50代半ば60代後半以降
株式70%65%55%40%
債券15%20%27.5%35%
不動産10%10%12.5%15%
現金5%5%5%10%
ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉 ―株式投資の不滅の真理』452ページの図2より

(3) レイ・ダリオのオール・シーズンズ戦略

株式30%
中期米国債(7~10年満期)15%
長期米国債(20~35年満期)40%
7.5%
商品取引7.5%
(アンソニー・ロビンズ『世界のエリート投資家は何を考えているのか: 「黄金のポートフォリオ」のつくり方 (単行本)』(三笠書房、2017年)

これは、世界最大のヘッジファンド運用会社創業者であるレイ・ダリオが示した個人向けのポートフォリオです。

レイ・ダリオによれば、株式:債券を50%:50%にするのは高リスクであり、バランスが取れていないとされています。

株式は債券の3倍のリスクがあり、実際のリスクは株式95%、債券5%になるということです。

それにしてもダリオ以外のプロの勧めるポートフォリオに比較すると株式が少なく、債券がかなり多いです(米国債は債券です)。

いかなる局面でも下げに強い資産配分案です。

ある程度資産のあるシニアな人の防衛ポートフォリオとしては良さそうですが、それほど資産が多くない若年層が今後長期にわたって資産を増やそうとするには不向きなように思います。

ダリオからこの個人向けの資産配分案を聞き取った本の著者であるアンソニー・ロビンズは、このダリオのプランから株式比率を上げてさらなるリターンを狙えることを示しています。

まだ若くて時間がたっぷりある人、または高リスクを取る覚悟がある人は、株式への配分率をもっと増やして、高利回りを狙うこともできる。債券比率を下げて、株式比率を上げることは、リスク・変動幅が拡大し、株価上昇の季節に賭けることを意味する。
配分率を試験的にいろいろ変えてみると、興味深い事実が判明した。通常のバランス型ポートフォリオ(株式60%、債券40%)と比較すると、株式比率を上げたオール・シーズンズ戦略の利回りの方がかなり高く、この高利回りに近づけるためには、「60%:40%」の通常の配分比率のファンドは、標準偏差で80%以上、高いリスクを負わなければならないのだ。

(アンソニー・ロビンズ『世界のエリート投資家は何を考えているのか: 「黄金のポートフォリオ」のつくり方 (単行本)』(三笠書房、2017年)343ページ)

(4) 山崎元による改造日本版オールシーズンズ・ポートフォリオ

アンソニー・ロビンズ『世界のエリート投資家は何を考えているのか: 「黄金のポートフォリオ」のつくり方 (単行本)』(三笠書房、2017年) の解説を書いた山崎元さんは、ダリオの資産配分案を日本人向けにアレンジした案を紹介しています。

国内株式15%
外国株式(先進国)為替ヘッジ無し5%
外国株式(先進国)為替ヘッジ付き10%
長期国債20%
外国債券為替ヘッジ付き15%
個人向け国債(変動10年)20%
J-REIT5%
10%
(アンソニー・ロビンズ『世界のエリート投資家は何を考えているのか: 「黄金のポートフォリオ」のつくり方 (単行本)』(三笠書房、2017年)

以下山崎さんの解説と、推奨する投資商品です。

国内株式:TOPIXに連動するETF。たとえば、日興アセットマネジメントの「上場インデックスファンドTOPIX」

外国株式ヘッジ付き:ヘッジ付きを重視したのは、国内株式が円安時に上昇する傾向が顕著であり、「円高・株安」でリスクが集中する傾向を少しでも回避するため。野村アセットマネジメント社のFunds-iシリーズではヘッジ付き資産が買える。

外国株式ヘッジ無し:ニッセイアセットマネジメント「ニッセイ外国株式インデックスファンド」

金:インフレ対策。ETFで持つとよい。少々多いと感じるが、商品指数に安価かつ安定的に投資できる運用商品がないため、J-REITと合わせて実物投資の意味を持たせた。

債券:「長期国債:20%」は、現状では、「ヘッジ付外債」か「個人向け国債(変動10)」に割り振る。  

国内債券の利回りが長短共にほぼゼロ%の現状を前提とすると、期待リターンは高く見積もっても2%台くらいのポートフォリオだが(機関投資家の株式に対する期待リターンは、現在ほとんどが4~6%程度の範囲だ)、多くの資産に分散しているので、さまざまな局面に対して「しぶとそう」な印象はある。

(アンソニー・ロビンズ『世界のエリート投資家は何を考えているのか』(三笠書房、2017年)377ページ)    
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