仮想通貨が投資不適格な理由 | なぜバフェットはビットコインを買わないのか

ビットコイン 今後 将来 暴落

ビットコインは買いなのか?

ビットコインや仮想通貨それ自体が良いのか悪いのか判断するのは難しいです。

そこで、適切な基準に照らしてビットコイン等の仮想通貨が投資対象として買いであるかを検証します。

結論からいえば、「仮想通貨は投資対象として不適格だ」です。

以下ではビットコインに言及して記事を書いていますが、ビットコイン=仮想通貨と捉えています。 

目次

1 投資とは何か | 投資の定義

「投資」とは何か。

多くの人が色々なことを言っています。

本記事ではウォーレン・バフェットの考えをベースにしますので、バフェットの定義を紹介します。

投資とは、将来より多く消費できるようになるために、今日の消費を先送りする活動である。

リスクとは、この目的が達成できないことをいう。

Investing is an activity in which consumption today is foregone in an attempt to allow greater consumption at a later date. “Risk” is the possibility that this objective won’t be attained.

(株主への手紙2017年)

バフェットと同じように投資を定義する投資家ハワード・マークスの説明によれば以下の通りです。

投資とは将来の出来事から利益が得られるように資金を振り向けることである

ハワード・マークス『市場サイクルを極める 勝率を高める王道の投資哲学 (日本経済新聞出版)』(日本経済新聞出版社、2018年)350ページ

ちなみに、ウォーレン・バフェットの師匠である投資界のレジェンドであるベン・グレアムの説く投資の定義はこうです。

投資とは、詳細な分析に基づいたものであり、元本の安全性を守りつつ、かつ適正な収益を得るような行動を指す。

この条件を満たさない売買を、投機的行動であるという。

(ベンジャミン・グレアム『賢明なる投資家 ウィザード・ブックシリーズ10』(パンローリング、2000年))

ビットコインを買うことは「投資」と言えるのでしょうか。

投資対象はたくさんあるので、投資分野をやや細かくしてみます。

2 投資対象の3カテゴリー

投資対象には様々なものがあります。

株、ビットコイン、国債や社債等の債券、不動産、金等々。

数えたらキリがないくらいある。

ウォーレン・バフェットは、それを以下3つのカテゴリーに大別してくれています。

  • カテゴリー1:特定の通貨建て投資(銀行預金、MMF、債券など)
  • カテゴリー2:”決して何も生み出さない資産”(金など)
  • カテゴリー3:企業や農場や不動産などの生産的資産に対する投資

(株主への手紙2011年より)

ビットコイン投資はどのカテゴリーに当たるのか。

3 ビットコインは何も生み出さない(カテゴリー2投資分野に該当する)

ビットコインは、バフェットのいうカテゴリー2の資産( ”決して何も生み出さない資産” )に当たるのではないか。

カテゴリー2の資産とは、以下のような資産です。

けっして何も生み出すことがないものの、将来だれかがもっと高い価格で買ってくれることを期待して買われている資産。

(“assets that will never produce anything, but that are purchased in the buyer’s hope that someone else – who also knows that the assets will be forever unproductive – will pay more for them in the future.”)

バフェットからの手紙 第5版)(Buffett, The Basic Choices for Investors and the One We Strongly Prefer; a letter to the shareholders 2011)

このカテゴリーに該当する資産としてバフェットが紹介している具体例は、金です。

金についてバフェットは厚く説明しています。

また、17世紀のオランダで投機対象になったチューリップも例としてあげています。

このカテゴリー2投資の特徴は、みんなが「儲かる!」と信じて群がって来ることです。

こうした種類の投資では買い手が増えていく必要があります。さらに買い手が増えると信じ、買い手が群がってくるのです。オーナーはその資産自体が生みだす――本当は永遠に何も生み出すことはないままなのですが―――ものに関心を持っているわけではなく、将来ほかの人がその資産を強く欲しがるに違いないと見られることに突き動かされているのです。

この「楽して儲けたい」という群衆が集まらないとカテゴリー2は成立しません。

なぜならその物自体に価値がないから。 

ビットコイン投資はカテゴリー2に該当するでしょうか。

  • ビットコイン自体は何も生み出しません。
  • またまさに現在「将来だれかがもっと高い価格で買ってくれることを期待して買われている資産」といえます。

よって、ビットコイン投資は、カテゴリー2に位置します。

答え合わせをすると、バフェットは「ビットコインは何も生み出さない」と2020年のインタビューで述べています。

バフェット曰く、

  • 暗号通貨には基本的に価値がない。(“Cryptocurrencies basically have no value”)
  • 暗号通貨は何も生み出さない。(“They don’t produce anything.”)

ウォーレン・バフェットの右腕として名高いチャーリー・マンガーは、2021年2月に、ビットコインのことを「人工的な金の代替物」と評して買わないことを勧めていました。

“It’s really kind of an artificial substitute for gold, and since I never buy any gold, I never buy any Bitcoin, and I recommend that other people follow my practice.”

4 ビットコインの使い道

ビットコイン投資はカテゴリー2の投資です。

  • カテゴリー1:特定の通貨建て投資(銀行預金、MMF、債券など)
  • カテゴリー2:”決して何も生み出さない資産”(金など)
  • カテゴリー3:企業や農場や不動産などの生産的資産に対する投資

カテゴリー2の投資対象は、何も生み出さないが、限られた使用方法があります。

金は、アクセサリーや工業用途で使われます。

チューリップは、観賞用です。

ビットコインは、本来は決済のためのものでした。

ビットコインは、現在のところ、決済の文脈で語られることはあまりありません。

いくら上がった下がったといった値段の上下が専ら話題の対象です。

ビットコインの使われ方について、バフェットはこう冗談を述べています。

「ビットコインが経済にもたらしたものは、スーツケースの需要を減少させたことだ」

これは、ビットコインが違法な送金手段として使われていることを念頭に置いたものです。

悪者は、かつてはスーツケースに現金をつめて送っていたが、ビットコインのおかげでネット上送金ができるようになったので、スーツケースがその分売れなくなったということです。 

5 ビットコインを買うのは投資ではなく投機

ビットコインを買うのは投資と言えるのでしょうか。

投資とは、「将来より多く消費できるようになるために、今日の消費を先送りする活動」です。

言い換えると、今あるお金を節約して消費しないで他のものに変えて、それによって将来よりたくさん買えるような力を付ける活動です。

今持っている銀行預金でビットコインを買うことで、将来に今より金持ちになれるでしょうか。

ビットコインは、持っているだけでは何も生み出しません。

銀行預金ならなけなしの利息を払ってくれます。

国債も利子が発生します。

株であれば、株式会社がせっせとビジネスを行っています。

ビットコインが将来よりパワーアップしてくれるには、今より多くの人が「ビットコインはいい!」と思って押しかけてきてくれなければなりません。

その期待によってビットコイン投資は成り立っています。

もし、そのビットコインへの期待が合理的なものと言えるならば、「投資」と言えなくもありません。

今後「ビットコインの地位は確実だ」と言えるのであればということです。

大物投資家のレイ・ダリオは、なんだかんだでビットコインは10年くらい資産としての地位を保っているので投資先として検討すると最近発表していました。

ビットコインの資産性について、詳細に分析し、元本の安全性を守れ、将来収益が得られると判断して買えるのであれば、そのようなビットコイン買いは投資と言えます。

しかし、そのような判断をできる人がいるのかは私にはわかりません。

おそらく、多くの人は「なんとなく楽にすぐ大儲かりできそう」と考えてビットコインを買っているのであり、それは投資ではありません。投機です。

そのような考えに基づいてビットコインを買おうとしているのであれば、宝くじとして買うのはいいですが、真面目な投資として買うのは賢い投資行動とは言えません。

ビットコインは「まだ上がるだろう。なぜならみんな買っているから」という期待のもとで価格が成り立っています。

「実は裏付け価値がないのではないか?」と多くの人が認識した時点で逆回転が始まります。

「チューリップは所詮チューリップじゃん。高い金払うのバカらしいな」と多くの人が思い始めるとバブルは崩壊に向かいます。

ビットコインは将来どうなるのか?

「最終的に愚か者(値上がりを盲信的に期待してビットコインを買う人)の供給が尽きてバブルが崩壊する」と言っている人もいます。

6 稼いだ給料を投資するなら株式

バフェットが勧める投資分野は、「カテゴリー3:企業や農場や不動産などの生産的資産に対する投資」です。

バフェットは株式に投資することを強く勧めています。

仕事をして稼いだ給料を寝かさず、かつ大損することなく増やそうとするなら株式を買っておけということです。

また、バフェットは「最高の投資は自分への投資」とも述べています。

ビットコインの上げ下げであれこれ振り回されるのはよくありません。

他人が「儲かっている」とねたむのは最悪の感情です。

年収で嫉妬すれば簡単に惨めな人生を過ごせるという記事で書いたとおり、自分と違う他人と比較して自分を貶めてもいいことはありません。

自分のすべきことに集中すべきです。

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